科学書院の出版方針

小社におきましては、今までに刊行された資料を分類・統合し、未来に向けて出版の新たな方式を確立するために、読者の皆様に、以下のような方針を呈示することに致しました。 世界におけるあらゆる研究成果の体系化と整理・分類・分析・統合既存の研究成果の再編成が要請されている今、新たなる地平を目指して、万人に必要な知識を統合した知性としての研究成果を整理・分類・分析・統合することに致しました。以下、

  • 書誌学・図書館学に関する文献一覧
  • データベース
  • 総合科学としての博物学・本草学
  • 地図・絵図・地形図
  • あらゆる分野における、世界及び日本の歴史的な資料集成
の5分野に大分類いたしました。
1. 書誌学の重要性に関して
これらの事業を達成するために、その解析の方法を充実させることが要求されています。つまり、全体を俯瞰して、いかなる方法で研究成果を整理・分類・分析・統合するかが、常に問われています。そのために、これらの書誌学の基本的な文献を最初に繙くことの重要性に鑑みて、最初にこれらの資料を開示する次第です。 小社で取り扱っている書誌学の基本的な文献(洋古書)をご覧ください。
2. 統合された知性としてのデータベースの作成
具体的には、それぞれの研究分野における辞典・字典・事典・文献改題目録、あらゆる分野における歴史年表などを製作することに致しました。データベースの作成とは、蓄積された知性の整理・分類・分析・統合であり、古代以来に作成された資料類の再構成、つまり増補改訂に他なりません。万人に必要な知性を統合したデータベースの作成こそが、豊かで調和のとれた未来建設の基礎になると確信しています。「国家の基礎は、統合された知的成果としての、図書などの資料にある」とする基本方針を根底に据えて、近代フランスの建設に与ったナポレオンの言葉を想起する必要があるでしょう。 小社刊行のあらゆる学問分野におけるデータベース書籍目録をご覧ください。
3. 総合科学としての博物学・植物学
全ての学問の基本として、博物学と本草学の再検討が、過去の歴史を分析する上において非常に重要な役割を果たす、というのが基本的な考え方です。精密科学や近代科学の成果は、それまでに蓄積された知性の統合に他ならず、科学的な事象がより整理されたにすぎません。18世紀以前に発達した博物学や本草学に盛り込まれた、非近代的な要素、言い換えれば、錬金術・占星術・呪術などの考察が、人類の知性の発達に果たした役割を無視することができません。これらの「考えるヒント」が合理的・科学的な思想の根底にあることを理解しなければ、世界を体系的に認識することは不可能なはずです。 小社刊行の総合科学としての博物学・植物学書籍目録をご覧ください。
4. 基本的な資料としての地図資料の作成
また、小社におきましては、近世の日本地図、及び、中国・日本・千島列島・樺太島などの、江戸時代以降に作成された古地図を、計画的かつ体系的に発行してきました。現代と地図作製当時との、環境・地形・植生などの変遷を比較・検討するための基本資料として、地図の果たす役割は、これからもますますその比重が増すものと確信する次第です。 小社刊行の基本的な資料としての地図資料目録をご覧ください。
5. 人類史を分析・統合するための「歴史資料」の作成
「歴史的な事実の分析と総括こそが、未来への展望を切り開く」とする視点にたって、日本及び世界の歴史的な自称の体系化と主題別の分析に取り組むことに致しました。現代の商社を含む複合企業(コングロマリット)が参考にしたイギリス東インド会社、南満州鉄道株式会社の機構・支配方式の解析は、学会に対して大きな貢献をなすものと信ずる次第です。また、日本の古代からの「下層階級」の存在の様式と経済生活を分析した「日本差別史資料集成」なども、既存の学問では、かなり等閑に附されていた分野の研究で、ひとつの問題提起になったと自負する次第です。