商品コード: ISBN978-4-7603-0329-8 C3321 ¥50000E

近世植物・動物・鉱物図譜集成 第18巻 觀文禽譜 (解読篇)

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近世植物・動物・鉱物図譜集成 第18巻 觀文禽譜 (解読篇)
〈2016年/平成28年1月刊行〉

The Iillustratied Books of the Japanese Flora, Fauna, Crops and Minerals in Yedo Era
Kanbun kinfu (Original Edition, General Index and Expanation Volume)
Written by Hotta, Masaatsu

解 説
(一)堀田正敦「觀文禽譜」全12冊(子から亥まで、養賢堂文庫和書787 Y488-カ1、宮城県図書館所蔵)
 序文の年紀は寬成六(1794)年であるが、その後改訂作業が続行され、現在見られるような様式で完成されたのは、天保2(1831)年のであると推定されている。著者の堀田 正敦(ほった まさあつ)は、宝暦5年7月20日(1755年8月27日)に、仙台藩主伊達宗村の八男として生をうけ、天保3年6月16日(1832年7月13日)に逝去している。天明6年(1786年)3月26日、堀田正富の娘婿となり、堅田藩(近江国)を受け継ぎ、後に、佐野藩(下野国)の藩主に就任し、寛政2(1790)年6月10日には、松平定信により若年寄に抜擢され、彼の配下で、寬成の改革を担うことになる。通称は初めは藤四郎。
 中国と日本の書籍についての該博な知識を有し、「寛政重修諸家譜」編纂の責任者をも務めている。また、松平定信、屋代弘賢、北村季文、塙保己一など、稀代の学者と文化的交流関係を結び、古今東西の言語を解読し、自らもこの「觀文禽譜」の他に、「觀文獣譜」「鷹譜」(東京国立博物館所蔵)、「觀文介譜」も執筆している。
 宮城県図書館に架蔵されている「堀田禽譜」は、美麗に彩色された鳥類図鑑で、「觀文禽譜」から抽出された解説が付されていて、この資料の「図譜部」であると考えられている。しかし、目次構成、内容なども異なり、全く一致していると断定することは不可能で、おそらく、両書とも別々な時期に執筆された可能性も否定できな。それを明らかにするためには、様々な資料を比較した今後の書誌学的研究にゆだねたい。
 この資料においては、日本で見られる鳥類(野鳥、家禽種)を以下のように分類し、各種について詳しく解説している。
①水禽(ツル、コウノトリ、カモ、チドリなど)
②原禽(キジ、スズメ、チドリなど)
③林禽(スズメ、ハトなど)
④山禽(タカ、フクロウなど)
上記の他に、カナリア、インコ、オウムなど、外国産の鳥類に対して、⑤「異邦禽小鳥」の章を設けている。
 堀田正敦は、観察から得られる形態的特徴や名称(和名、漢名、漢字名、学名、地方名など)を丁寧に記載し、人間との関係も重視して、生息地、生態系などの基本的情報に加えて、中国や日本などを含む国内外の文献、特に和歌、地誌資料などからも「鳥類に関係する記事」豊富に引用していて、日本文学や中国文学への造詣の深さを示してあまりあるものがある。また、食用方法や薬物としての効用などにもついても、詳細に記している。形態的特徴を重視し、かつ、解剖学的見地にたつ鳥類分類学とは一線を画している。しかし、鳥類種の分類や文献的考察、生態的特徴の詳細な記載は、各鳥類の和名の由来や日本人の生活との関係を知る史料として、文化的にも生物学的にも貴重な資料となりうるものである。
 彼は幕府の若年寄として、ロシアとの領土問題の紛争処理に関して蝦夷地にも足を運び、ロシアからオランダ経由で日本に伝わったと推定されているエトピリカやタンチョウなどの生態系についての記述を遺している(この件に関しては、小社刊行の『近世歴史資料集成・第6期・第6-7巻』「休明光記」を参照)。
 現在の鳥類研究と比較すれば、生物学的には、粗略な記述であるが、400以上の種が網羅されていて、都市開発による人為的破壊などにより、絶滅して知ることのできない種も収録されていて、江戸時代の鳥類の生態などを知るための重要な資料であるとともに、18世紀にこれだけの研究成果を成し遂げた江戸時代の博物学の学問水準の高さを今に伝えている貴重な書籍であることは、何人も否定できないであろう。
 この資料が世に出るにあたっては、『江戸鳥類大図鑑 よみがえる江戸鳥学の精華・観文禽譜』(堀田正敦著、鈴木道男編著、平凡社、2006年3月刊行、ISBN 4-582-51506-1)を参考にさせていただいた。この貴重な資料を解析した鈴木道男先生に感謝の念を捧げる次第である。なお、小社においては、江戸博物学研究のより一層の発展を念じて、2013(平成25)年に、「近世植物・動物・鉱物図譜集成」第18巻として、『「觀文禽譜・解読篇」及び「堀田禽譜」』を上梓の予定である。この発行に関して、読者諸氏からの忌憚のないご意見をいただければ幸甚である。
 なお、「国書総目録」によれば、「堀田禽譜」の所蔵は明記れていない。「觀文禽譜」の所蔵機関は、宮城県図書館を除くと、以下の通りである。
①国立国会図書館伊藤文庫(6巻7冊)
②国立公文書館内閣文庫(3巻6冊)
③東洋文庫(3冊)
④東京国立博物館(巻上欠、2冊)
⑤岩瀬文庫(5冊)
⑥杏雨書屋(6巻7冊)
⑦大東急文庫(抄本、1冊)
 この原稿に関しては、編集も未整理な感を免れ得ないが、読者諸氏の研究に役立つことを目的として、極力再構成した次第である。また、別冊として、約一万項目以上にものぼる名称を検索可能な、「植物・動物・文献・一般事項名の詳細な索引(総合索引、分野別索引)」を附してあるので、ぜひ有効に活用していただきたい。ただ、植物の土名、地方名、通称名などの表記や、江戸時代もしくはそれ以後に製作された国文学・国史・博物・地誌に関係する文献、読み物、風土記、旅行記、名所図絵、中国の地誌書、地理学書、歴史書、博物学書、植物誌、動物誌などの古典籍からの豊富でかつ体系的な引用は、著者である堀田正敦の学識と博識の深さを窺わせるに十分な内容である。その意味においても、博物学、動物学、植物学のみならず、民俗学、言語学、日本経済史学などの諸分野においても、総合的かつ多角的な研究に活用されることを期待し、江湖にお奨めする次第である
 最後に、この全体の原稿と総索引が完成するにあたっては、仲村一心氏、仲村惠子氏の尽力によることが多大である。両氏の甚大な努力とその博識に感謝の念を禁じ得ない。さらに、これらの資料の撮影及び掲載に関して、さまざまなご配慮をいただいた宮城県図書館の諸氏に御礼の言葉を申しあげたい。

二○一二年十一月十八日
                                 編者識
                     
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書誌情報

商品名:近世植物・動物・鉱物図譜集成・第17巻 観文禽譜(原文篇・索引篇・解説篇)
著者:堀田 正敦
編集:近世歴史資料研究会
版型:B5
出版年月:2012/10
出版社:科学書院
ページ数:
 原文篇:1041
 索引篇・解説篇:460
言語:日本語
ISBN-10: 4760303286
ISBN-13: 978-4760303281

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