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近世法制史資料集成1 ―祠部職掌類聚(1)―

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マイクロフィルム&DVD

『近世法制史資料集成 1(祠部職掌類聚1)』
(マイクロフィルム版)
(2012年1月刊行、マイクロフィルム、全32リール)
吉田徳夫・小椋孝士 編・解説

The Collected Historical Materials of Legistrations
in Yedo Era: The Official Documents relating to Judicial Administration

ISBN978-4-7603-0401-1

□「祠部職掌雑纂摠目録」(A)[1冊]、□「祠部職掌雑纂摠目録」(B)[1冊]、□「祠部職掌類聚・寺院之部」[21巻21冊]、□「祠部職掌雑纂・神社之部」[31巻31冊]、□「祠部職掌類聚・神社社人附之神社無之部」[1巻1冊]、□「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」[2巻2冊]

「祀部職掌雑纂」解題

吉田 徳夫(関西大学法学部教授)

 『祀部職掌雑纂』は寺社奉行の記録であるから、寺社に関係する大部の記録であることは言うまでもないが、また評定所に関する記録でもある。即ち、同史料は、寺社関係史料群と評定所関係史料群に二大別して考えることができる。近世の法制史料は、江戸幕府法を中心として、武家や公家に対する法律のみならず宗教関係の法律も制定されていた。包括的な江戸幕府の宗教法はもとより、個別に宗教教団を取立て、教団ごとに本山を定め、本山による統制が図られてきた。近世法の分野にも色々とあるが、従来は、この宗教関係の法律に関する史料の研究は顧みられることが少ない分野であった。また評定所は江戸幕府の最高議決機関と考えられるが、今まで史料に恵まれず、この面での研究も成果が乏しいまま推移してきた。ここに紹介する『祀部職掌雑纂』は寺社奉行の手により編纂された近世法制史料の白眉のコレクションであり、これにより寺社奉行のみならず評定所の研究の進展が期待される。
 ここで紹介する寺社奉行の記録を『祀部職掌雑纂』と称しておくが、現在確認されている『祀部職掌雑纂』は、内閣文庫本と静嘉堂本(松井本)、さらに丹波篠山の青山文庫所蔵にかかる三種類がある。丹波篠山の青山文庫は寺社奉行を務めた青山家に伝来したものである。静嘉堂本には「高崎文庫」という蔵書印が押され、篠山青山文庫本には「青山文庫」の蔵書印がある。内閣文庫本は『内閣文庫所蔵史籍叢刊』の中に『祀部職掌類聚』と称して刊行されている。。同書に寄れば「日本政府図書」の蔵書印があるが、これは明治二〇年に内閣修史局が古書肆から購入して後に押されたものである。内閣文庫本は、全一三冊ですべて寺社関係の記録である。
 内閣文庫本に関しては、上記の『内閣文庫所蔵史籍叢刊』中にある『祀部職掌類聚』についての福井保氏の解題があり、それによると同氏は内閣文庫本と静嘉堂本の『祀部職掌雑纂』とを比較対照して、名称の類似性があると指摘し、両本共に寺社奉行を務めた上野国高崎藩主であった大河内(松平姓青山家)輝和の編纂にかかる文献であると推測している。松平輝和とは天明四(1784)年から寛政一〇(1798)年にかけて、寺社奉行を務めた人物である。橋本久氏の研究は『大阪経済法科大学法学論集』に発表され、篠山の青山文庫所蔵の『祀部職掌雑纂』に関するものであり、目録を作成しようとした研究であり、また静嘉堂所蔵の『祀部職掌雑纂』の目録を翻刻された。また青山文庫の『祀部職掌雑纂』の中から適宜、今まで史料紹介がなされてきた。以上の『祀部職掌雑纂』は三つの機関に所蔵されているが、何れも松平輝和の編纂物と考えられ、内容的にも重複する。また篠山の青山文庫にしか存在しないものもある。例えば、同じ高崎藩で編纂された『地方凡例録』がそれに当たる。総合的に考えれば、静嘉堂本が編纂物としては原本であると思われる。篠山の青山文庫本は、原本を写したものと思われる。
 寺社奉行は、幕府職制の中でも三奉行中で、筆頭に位置する。他の奉行が旗本クラスの者が就く職であったが、寺社奉行に限り、譜代の大名が就任する職であった。また江戸幕府の最高議決機関である評定所は、老中を中心として、三奉行が構成員となり、また大坂城代等が江戸在府中は評定所に列席する例となっており、その関係から評定所に記録が残されてきたと思われるが、『大坂都督所務類纂』が寛政年間から文政年間のものが全六〇冊ほど残されている。評定所で審理される事項は、法典の編纂、例えば御触書の編纂等を含み、また三奉行が管轄する訴訟の審理を職掌とする。既に紹介されてきた裁判記録『御仕置例類集』などと比較対照することができる史料でもある。また法令、判決、問答などと称する江戸幕府法研究に付け加えて、評定所の一座による「吟味」が判決原案を作成していることから、この「吟味」も江戸幕府法の研究に欠かせないことになる。
 ここに紹介する『祀部職掌雑纂』は、評定所構成員としての記録であり、また寺社奉行固有の職掌である宗教関係事項の記録となっている。前者は、今まで紹介されたことのない評定所記録であり、評定所一座の連名になる訴訟の吟味、評議記録や、三奉行留、進達類、相談書、張紙留、相談書などを含んでいる。この『祀部職掌類聚』に関する研究は、まだまだ今後の課題である。
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本資料の体裁及び内容

本集成の特色
①江戸時代の寺社奉行所・勘定奉行所・町奉行所及び評定所資料の全貌を紹介…江戸幕府の三部行所が決済した司法・行政・立法に関係する資料を精選して掲載。

②完璧な内容と詳細な解説…この「祠部職掌類聚」は寛政10(1798)年に、「江戸幕府編纂物」として作成されたことが知られているが、その全貌を俯瞰するための資料はあまり見いだされていなかった。今回の刊行にあたっては、主要な図書館及び関係諸機関の貴重資料を博捜し、江戸幕府内部における政策立案、司法処理、行政指導などについて、その全貌を把握できる資料を厳選した。「解説篇」において、「祠部職掌類聚」の書誌・研究動向・内容などを詳細に叙述。

③保存・閲覧用としてのマイクロフィルム…マイクロフィルムは保存・閲覧として活用することを意図して製作された。これはDVDの有効活用期間が特定されていないことによる。


④あらゆる分野で活用可能な資料集成…日本法制史学、日本史学、日本経済史学のみならず、歴史地理学、日本政治史学、日本文学など、あらゆる学問分野で活用が可能。

凡 例

(1)これらの全32リールのマイクロフィルムは、6種類の原資料を収録してある。

(2)収録されてある資料の名称、構成などは以下の通りである。マイクロフィルムと原本の対照表を4ページに記したので参照されたい。

□「祠部職掌雑纂摠目録」(A)[1冊]
□「祠部職掌雑纂摠目録」(B)[1冊]
□「祠部職掌類聚・寺院之部」[21巻21冊]
□「祠部職掌雑纂・神社之部」[31巻31冊]
□「祠部職掌類聚・神社社人附之神社無之部」[1巻1冊]
□「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」[2巻2冊]

(3)これらの原資料はいずれも静嘉堂文庫所蔵である。また、⑦「祠部職掌類聚・御朱印帳」[72巻72冊]は、予定のリール数を超過したために掲載できなかった。2013年に刊行の第III期に収録する予定である。さらに、今回の刊行にあたっては、所蔵者の意向もあり、DVDを作成できなかった。記して謝意を表明するしだいである。

(4)「祠部職掌雑纂」と「祠部職掌類聚」の区別や成立などについて、正確な情報が得られないなど、未だ研究の途上にあるので、現存する資料が全て刊行された時点で、全体の資料群を俯瞰しながら、詳細な「解題目録」を執筆する予定である。また、今回の発行にあたっては、総合の表題を暫定的に「祠部職掌類聚」に統一したので留意されたい。ただ、今までに知り得た情報のみを掲載した。

(5)このマイクロフィルムの発刊にあたっては、先学の橋本久先生(現大阪経法大学法学部教授)、牧田勲先生(現摂南大学法学部教授)、山田勉先生(現神戸女子大学文学部教授)の御三方におうところが多大である。これらの諸先生の長年にわたる積み重ねた業績なくしては、今回の刊行があり得なかったと言っても、決して言い過ぎではない。改めて深く感謝する次第である。

マイクロフィルムと原本の対照表

祠部職掌類聚(1)[01]/【01-01】「祠部職掌雑纂摠目録」(A)/【02-01】「祠部職掌 雑纂摠目録」(B) /【03-01】「祠部職掌類聚・寺院之部」①
祠部職掌類聚(1)[02]/【03-02】「祠部職掌類聚・寺院之部」②
祠部職掌類聚(1)[03]/【03-03】「祠部職掌類聚・寺院之部」③
祠部職掌類聚(1)[04]/【03-04】「祠部職掌類聚・寺院之部」④
祠部職掌類聚(1)[05]/【03-05】「祠部職掌類聚・寺院之部」⑤
祠部職掌類聚(1)[06]/【03-06】「祠部職掌類聚・寺院之部」⑥
祠部職掌類聚(1)[07]/【03-07】「祠部職掌類聚・寺院之部」⑦
祠部職掌類聚(1)[08]/【03-08】「祠部職掌類聚・寺院之部」⑧
祠部職掌類聚(1)[09]/【03-09】「祠部職掌類聚・寺院之部」⑨
祠部職掌類聚(1)[10]/【03-10】「祠部職掌類聚・寺院之部」⑩
祠部職掌類聚(1)[11]/【04-01】「祠部職掌類聚・神社之部」①
祠部職掌類聚(1)[12]/【04-02】「祠部職掌類聚・神社之部」②
祠部職掌類聚(1)[13]/【04-03】「祠部職掌類聚・神社之部」③
祠部職掌類聚(1)[14]/【05-01】「祠部職掌類聚・神主社人附之神社無之部」①
祠部職掌類聚(1)[15]/【05-02】「祠部職掌類聚・神主社人附之神社無之部」②
祠部職掌類聚(1)[16]/【05-03】「祠部職掌類聚・神主社人附之神社無之部」③
祠部職掌類聚(1)[17]/【05-04】「祠部職掌類聚・神主社人附之神社無之部」④
祠部職掌類聚(1)[18]/【05-05】「祠部職掌類聚・神主社人附之神社無之部」⑤
祠部職掌類聚(1)[19]/【06-01】「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」①
祠部職掌類聚(1)[20]/【06-02】「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」②
祠部職掌類聚(1)[21]/【06-03】「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」③
祠部職掌類聚(1)[22]/【06-04】「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」④
祠部職掌類聚(1)[23]/【06-05】「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」⑤
祠部職掌類聚(1)[24]/【06-06】「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」⑥
祠部職掌類聚(1)[25]/【06-07】「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」⑦
祠部職掌類聚(1)[26]/【06-08】「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」⑧
祠部職掌類聚(1)[27]/【06-09】「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」⑨
祠部職掌類聚(1)[28]/【06-10】「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」⑩
祠部職掌類聚(1)[29]/【06-11】「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」⑪
祠部職掌類聚(1)[30]/【06-12】「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」⑫
祠部職掌類聚(1)[31]/【06-13】「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」⑬
祠部職掌類聚(1)[32]/【06-14】「祠部職掌類聚・諸門跡系譜」⑭
※表の[]はリール番号。【】は文献の番号、「」は表題を示す。

内容の解説(抄)

□「祠部職掌類聚・寺院の部」
①静嘉堂文庫所蔵(505-1-20346、265x193、約全800丁、手書き本、21巻21冊、年紀:な し)
*各國の御朱印地(寺社領)の石高、寺院名称、領主の一覧表。橋本久論文(「祠部職掌雑纂惣目録」257-259ページ)の「御朱印國分帳」を参照。

□「祠部職掌雑纂・神社の部」
②静嘉堂文庫所蔵(504-18-20344、265x197、40丁x31冊[1-31]、手書き本、31巻31冊、年紀:なし)
*橋本久論文(「祠部職掌雑纂惣目録」)に記載されていない。
*神社の名称、神主・社人・社司・別当・領主の氏名を表記。石高などの表示はない。全国的に網羅。

□「祠部職掌雑纂・地方凡例録」
③静嘉堂文庫所蔵(504-18-20344、265x195、50丁x9冊[32-40]、手書き本、9巻9冊、年紀:なし、上表:なし)
*「巻之五」「巻之六」は欠。
*総目次はなし。「巻之九」の「普請方之事」は改訂されていない。
*「巻之八」の「切支丹」「穢多非人」は省略されていない。
*「巻之十一」は「民間銀通用始之事」から始まる。
*「高崎文庫」「松平輝保」の蔵書印がこの文庫の資料に押印されている。
*今回は端本の故に収録されない。

□「祠部職掌雑纂・神主社人附之神社無之部」
④静嘉堂文庫所蔵(504-18-20344、265x195、20丁[41]、手書き本、1巻1冊、年紀:なし、上表:なし)
*神社を持たない神主の名簿と推定される。全国に及ぶ。

□「祠部職掌雑纂・諸門跡系譜 全」(内題)
⑤静嘉堂文庫所蔵(504-18-20344、265x195、42:42丁;43:49丁、[42-43]、手書き本、2巻2冊、年紀:なし、上表:なし)
*著名な寺院の門跡の系図と推定される。
*「高崎文庫」「松平輝保」の蔵書印がこの文庫の資料に押印されている。

□「祠部職掌雑纂・御朱印写」
⑥嘉堂文庫所蔵(505-2-20348、266x198、約1670丁、手書き本、13巻13冊、年紀:なし、上表:なし)
*歴代の将軍が、各宗派の寺院代表者に宣下した御朱印状(許可状)の写しであろう。橋本久論文(「祠部職掌雑纂惣目録」259-260ページ)の「御朱印帳」を参照。表題は適切でない。
*「高崎文庫」「松平輝保」の蔵書印がこの文庫の資料に押印されている。

□「祠部職掌雑纂・御朱印写」
⑦嘉堂文庫所蔵(505-2-20349、266x198、約2600丁、手書き本、23巻23冊、年紀:なし、上表:なし)
*歴代の将軍が、各宗派の寺院代表者に宣下した御朱印状(許可状)の写しであろう。橋本久論文(「祠部職掌雑纂惣目録」259-260ページ)の「御朱印帳」を参照。表題は適切でない。
*「高崎文庫」「松平輝保」の蔵書印がこの文庫の資料に押印されている。

□「祠部職掌雑纂・御朱印写」
⑧嘉堂文庫所蔵(505-2-20350、266x198、約5400丁、手書き本、36巻36冊、年紀:なし、上表:なし)
*歴代の将軍が、各宗派の寺院代表者に宣下した御朱印状(許可状)の写しであろう。橋本久論文(「祠部職掌雑纂惣目録」259-260ページ)の「御朱印帳」を参照。表題は適切でない。これら⑥⑦⑧の合計72巻72冊は同一の形式であるので、同一書名と判断してさしつかえない。
*「高崎文庫」「松平輝保」の蔵書印がこの文庫の資料に押印されている。

□「祠部職掌雑纂惣目録」
⑨静嘉堂文庫所蔵(504-14-20334、300x213、61丁、手書き本、1巻1冊、年紀:寛政8年、上表:なし)
*内容は詳細。虫食いが激しい。橋本久論文(「祠部職掌雑纂惣目録」247-339ページ)を参照。
*「高崎文庫」「松平輝保」の蔵書印がこの文庫の資料に押印されている。

□「祠部職掌雑纂惣目録」
⑩静嘉堂文庫所蔵(504-14-20335、300x213、45丁、手書き本、1巻1冊、年紀:寛政8年、上表:なし)
*内容を一部省略して、⑩に含まれなかった資料を照会。橋本久論文(「祠部職掌雑纂惣目録」247-339ページ)を参照。
*「高崎文庫」「松平輝保」の蔵書印がこの文庫の資料に押印されている。

「祀部職掌雑纂」解題     吉田 徳夫(関西大学法学部教授)

 『祀部職掌雑纂』は寺社奉行の記録であるから、寺社に関係する大部の記録であることは言うまでもないが、また評定所に関する記録でもある。即ち、同史料は、寺社関係史料群と評定所関係史料群に二大別して考えることができる。近世の法制史料は、江戸幕府法を中心として、武家や公家に対する法律のみならず宗教関係の法律も制定されていた。包括的な江戸幕府の宗教法はもとより、個別に宗教教団を取立て、教団ごとに本山を定め、本山による統制が図られてきた。近世法の分野にも色々とあるが、従来は、この宗教関係の法律に関する史料の研究は顧みられることが少ない分野であった。また評定所は江戸幕府の最高議決機関と考えられるが、今まで史料に恵まれず、この面での研究も成果が乏しいまま推移してきた。ここに紹介する『祀部職掌雑纂』は寺社奉行の手により編纂された近世法制史料の白眉のコレクションであり、これにより寺社奉行のみならず評定所の研究の進展が期待される。

 ここで紹介する寺社奉行の記録を『祀部職掌雑纂』と称しておくが、現在確認されている『祀部職掌雑纂』は、内閣文庫本と静嘉堂本(松井本)、さらに丹波篠山の青山文庫所蔵にかかる三種類がある。丹波篠山の青山文庫は寺社奉行を務めた青山家に伝来したものである。静嘉堂本には「高崎文庫」という蔵書印が押され、篠山青山文庫本には「青山文庫」の蔵書印がある。内閣文庫本は『内閣文庫所蔵史籍叢刊』の中に『祀部職掌類聚』と称して刊行されている。。同書に寄れば「日本政府図書」の蔵書印があるが、これは明治二〇年に内閣修史局が古書肆から購入して後に押されたものである。内閣文庫本は、全一三冊ですべて寺社関係の記録である。

 内閣文庫本に関しては、上記の『内閣文庫所蔵史籍叢刊』中にある『祀部職掌類聚』についての福井保氏の解題があり、それによると同氏は内閣文庫本と静嘉堂本の『祀部職掌雑纂』とを比較対照して、名称の類似性があると指摘し、両本共に寺社奉行を務めた上野国高崎藩主であった大河内(松平姓青山家)輝和の編纂にかかる文献であると推測している。松平輝和とは天明四(1784)年から寛政一〇(1798)年にかけて、寺社奉行を務めた人物である。橋本久氏の研究は『大阪経済法科大学法学論集』に発表され、篠山の青山文庫所蔵の『祀部職掌雑纂』に関するものであり、目録を作成しようとした研究であり、また静嘉堂所蔵の『祀部職掌雑纂』の目録を翻刻された。また青山文庫の『祀部職掌雑纂』の中から適宜、今まで史料紹介がなされてきた。以上の『祀部職掌雑纂』は三つの機関に所蔵されているが、何れも松平輝和の編纂物と考えられ、内容的にも重複する。また篠山の青山文庫にしか存在しないものもある。例えば、同じ高崎藩で編纂された『地方凡例録』がそれに当たる。総合的に考えれば、静嘉堂本が編纂物としては原本であると思われる。篠山の青山文庫本は、原本を写したものと思われる。

 寺社奉行は、幕府職制の中でも三奉行中で、筆頭に位置する。他の奉行が旗本クラスの者が就く職であったが、寺社奉行に限り、譜代の大名が就任する職であった。また江戸幕府の最高議決機関である評定所は、老中を中心として、三奉行が構成員となり、また大坂城代等が江戸在府中は評定所に列席する例となっており、その関係から評定所に記録が残されてきたと思われるが、『大坂都督所務類纂』が寛政年間から文政年間のものが全六〇冊ほど残されている。評定所で審理される事項は、法典の編纂、例えば御触書の編纂等を含み、また三奉行が管轄する訴訟の審理を職掌とする。既に紹介されてきた裁判記録『御仕置例類集』などと比較対照することができる史料でもある。また法令、判決、問答などと称する江戸幕府法研究に付け加えて、評定所の一座による「吟味」が判決原案を作成していることから、この「吟味」も江戸幕府法の研究に欠かせないことになる。

 ここに紹介する『祀部職掌雑纂』は、評定所構成員としての記録であり、また寺社奉行固有の職掌である宗教関係事項の記録となっている。前者は、今まで紹介されたことのない評定所記録であり、評定所一座の連名になる訴訟の吟味、評議記録や、三奉行留、進達類、相談書、張紙留、相談書などを含んでいる。この『祀部職掌類聚』に関する研究は、まだまだ今後の課題である。

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