商品コード: ISBN978-4-7603-0269-7 C3321 \50000E

第2巻 日本科学技術古典籍資料/數學篇[11]

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50,000円    (税込:54,000円)
第2巻 日本科学技術古典籍資料/数学篇[2]
関孝和の著作の複製及び関孝和・関孝和一門の業績についての解説。

『發微算法』(1674年)
『發微算法演段諺解』
『括要算法』
『関流草述』

 本巻及びこれから続く数巻は、江戸時代中期に活躍し、日本の数学の礎を築いた関孝和と、彼の後継者である建部賢弘、建部賢明、荒木村英をなどを初めとする「関孝和学統」が、それ以降の数学の発展に果たした役割を検証し、中国から輸入された算術が如何に変遷を遂げて体系化されていったかを考究することを主眼として刊行する。この巻には四種類の資料が掲載され、いずれも「東北大学附属図書館所蔵」である。資料の供与及び内容の解析にご協力をいただいた関係者各位に、深く感謝する次第である。なお、日本で独自に発展した和算を研究する文献は枚挙に遑がなく、編者も整理・分類の段階で停滞を余儀なくされている次第である。次の巻においては、稿を改めて、数学的発展の歴史的事実の整理と、江戸時代に書かれた第一次文献の解析、ヤコブ・ベルヌーイ、アイザック・ニュートン、ゴットフリート・ライプニッツなどの樹立した西洋数学との関連の分析などを考究する所存である。

(一)發微算法(林鶴一文庫25)
 著者は関孝和(せき たかかず)。一説によると、寛永十九(一六四二)年に生をうけ、宝永五(一七○八)年十月二十四日(十二月五日)に没している。生誕地は上野国の藤岡と江戸の二説が知られている。江戸時代の和算家である。本姓は藤原氏、旧姓は内山氏、通称は新助、字は子豹、自由亭と号した。関孝和は若くして関家の養子となり、吉田光由の「塵劫記」を独自に学び、さらに高度な数学を学ぶ。甲斐国甲府藩の徳川綱重及び徳川綱豊に仕え、勘定吟味役となる。徳川綱豊が第六代将軍徳川家宣を襲名すると、直参として江戸詰めとなり、西の丸御納戸組頭に任じられた。また彼は甲府藩の甲斐国絵図の作成にも携わった。関孝和は和算が中国の模倣を超えて独自の発展を始めるにあたり、宋元時代に発展した天元術を深く研究し、根本的な改良を加えて、延宝二(一六七四)年にこの「発微算法」を著した。この書において、点竄術すなわち筆算による代数の計算法や傍書法を考案して、和算が高等数学として発展するための基礎を作ったと言われている。世界で最も早い時期に行列式・終結式の概念を提案したことはよく知られている。
 また、天元術を初めて解説したのは澤口一之の「古今算法記」(一六七一年刊行、小社刊行の「近世歴史資料集成第四期第六巻」に所収)で、澤口一之は天元術では解けない問題十五問をこの書の巻末に遺題として残した。関孝和は算木を使う方法をやめて,文字係数の連立多元高次方程式を書き表す方法を考案し、それを使って、これらの遺題の解答法を示したのが本書である。関はこの書の中で、未知数を消去して、一元高次方程式に整頓する方法を示した。
 さらに、暦の作成にあたっても、円周率の近似値が必要となったために、正131072角形を使って小数第十一位まで算出した。最終的に採用した近似値は「3.14159265359」で、エイトケンは小数点以下第十六位まで正確に求めている。本書は、活字本が流布している中で、あえて、筆写本を採用した。巻末に校正者として、「三瀧四郎右エ門那智」「三俟(俣)八エ門久長」の二人の氏名が記載されている。

(二)發微算法演段諺解(狩7-20571-4-9489)
 関孝和が一六七四年に「発微算法」を発表後、本書の難解さと解析方法が遍く理解されず、省略が著しく多く理解が困難ということで、関西の数学者から正当性に疑いの声が上がっていたことに鑑みて、関孝和の弟子の建部賢弘が関流数学の要点を詳しく解説したのが本書である。彼はこの書籍で変数消去の過程を丁寧に解説し、その不備を補った。この書籍の刊行により、関孝和の演段法が理解されるようになった。貞享二(一六八五)年の刊行。建部賢弘(たけべ かたひろ)は寛文四(一六六四)年六月に生まれ、 元文四(一七三九)年七月二十日(八月二十四日)に逝去している。享年七十六歳。江戸時代中期の数学者。父は旗本の建部直恒。賢秀、賢行、賢弘と名乗り、通称は源左衛門、源右衛門、源之進、彦次郞。不休と号す。一六七六年に関孝和の門人となり、享保四(一七一九)年、第八代将軍徳川吉宗の信頼を得て「日本総図」を作る。彼の独自の業績としては円周率に関連した研究が最も重要で、正多角形で円を近似する方法に累遍増約術を適用し、円周率を四十一桁まで求めた。次に、兄の建部賢明の発見した零約術(連分数展開)を用い、極めて精度がよい円周率の近似分数を見出した。また微小な円弧の長さをその矢の長さで数値的に冪級数展開した。この際、数値計算で得た係数を零約術で処理して、正しい係数にたどり着いている。その他、指数1/2の二項級数やディオファントス方程式の近似解法を示すなど、優れた業績を残している。

(三)括要算法(狩7-20034-4-8731)
 正徳二(一七一二)年刊行。関孝和の弟子の荒木村英(一六四○‐一七一八・寛永十七‐享保三)が,彼の弟子の大高由昌と共に、関の没後、関の遺稿を整理して出版したのが本書である。関の業績の多くを含んでいる。不定方程式、二項係数、正多角形の辺と対角線の関係式、級数の和、ベルヌーイ数、近似分数、外挿法、円及び球の求積などが述べられている。本書により、関孝和の業績が広く知られるようになった。ここで述べられているベルヌーイは、ヨハン・ベルヌーイ(Johann Bernoulli、一六六七年七月二十七日 - 一七四八年一月一日)のことで、スイスの数学者である。ロピタルの定理として知られる微分の平均値の定理の発見者である。

(四)関流草述(狩7-20432-34)
 年紀、著者名、筆写名などが記載されていない三十四冊の手写本である。「東北大学狩野文庫」の所蔵である。表題は、「関流算法草述」と類似しているが、目次などを比較してみると、必ずしも適合していない。同じ表題で「東北大学狩野文庫」に架蔵されていて、こちらは十四冊の構成である。これら三種類の資料の内容構成を点検しても、全く同一な章の名称はわずかである。ちなみに、各刷の表題を列挙してみると以下の通りである。①加減乗除法(身外加法、身外減法)、②之分、③方程、④開平、⑤堡蹶開方、⑥算機解(上)、⑦算機解(下)、⑧算法演段品彙(一)、⑨算法演段品彙(二)、⑩算法演段品彙(三)、⑪算法演段品彙(四)、⑫算法演段品彙(五)、⑬箔舛木挽、⑭撞除、⑮互換隨毛(上)、⑯互換隨毛(下)、⑰算梯(一)、⑱算梯(二)、⑲算梯(三)、⑳算梯(四)、㉑算梯(五)、㉒算梯(六・点竄術書)、㉓算梯(七)、㉔算梯(八)、㉕算梯(九)、㉖算梯(十)、㉗算法演段雑記、㉘演段解、㉙容術、㉚接術、㉛円中三斜術、㉜形写五問、㉝角起術、㉞対換。
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